有理数であることを示す抽象的な問題
今回の問題はこちら。
次のはいずれも正の実数とする。
(1) 「が有理数ならば,は常に有理数となる」という命題の真偽を判定しなさい。
(2) が有理数ならば,も有理数であることを示しなさい。
(3) が有理数で,さらにも有理数ならば,はいずれも有理数であることを示しなさい。
なかなかとっつきにくい問題に思われるかもしれません。
背理法を用いずに証明することが出来ます。この問題は,大いに時間を使って考えることに意義がある問題と思います。数日ぐらいは考えても良いのでは?でも,数分で解けるかもしれないです。
解説
(1) 実はこの命題は偽です。(2)では似たような感じになっているので,(1)も有理数な気がする・・・!と思ったら,間違いですね。例えば,
としてみると, も も正の実数であり, ですが,
となり,これは無理数です。したがって,この が反例となります。
(2) より, が有理数であることを示せばよいです。有理数であることを だけで示すことを考えます。ややテクニカルかもしれませんが,
という恒等式が成り立ち,仮定より右辺はすべて有理数の四則演算ですので, も有理数です。よって,
が有理数であることが示されました。
(3) (2)で示したことを使うことが出来ます。 が有理数であることを用いると,
という恒等式より, も有理数であることがわかります。さらに,
と変形することができ,右辺は全て有理数の四則演算ですので,は有理数であることが結論付けられます。
同様に,
より, も有理数であることが言えました。
こういう問題を秒で解く人に,私はなりたい。