ぱるちのものおき ver 2.0

主にLaTeXや数学のお話をするブログです。

有理数であることを示す抽象的な問題

今回の問題はこちら。

次のa,b,cはいずれも正の実数とする。
(1) 「ab有理数ならば,(a+b)^2は常に有理数となる」という命題の真偽を判定しなさい。
(2) ab,bc,ca有理数ならば,(a+b+c)^2有理数であることを示しなさい。
(3) ab,bc,ca有理数で,さらに(a+b+c)^3有理数ならば,a,b,cはいずれも有理数であることを示しなさい。

なかなかとっつきにくい問題に思われるかもしれません。
背理法を用いずに証明することが出来ます。この問題は,大いに時間を使って考えることに意義がある問題と思います。数日ぐらいは考えても良いのでは?でも,数分で解けるかもしれないです。
解説
(1) 実はこの命題はです。(2)では似たような感じになっているので,(1)も有理数な気がする・・・!と思ったら,間違いですね。例えば,

\displaystyle a=2^{1/4},\ b=\frac{1}{2^{1/4}}

としてみると,ab も正の実数であり,ab=1 ですが,

{\displaystyle (a+b)^2=\left(2^{1/4}+\frac{1}{2^{1/4}}\right)^2=2+\sqrt2+\frac{1}{\sqrt2}=2+\frac{3\sqrt2}{2}}

となり,これは無理数です。したがって,このa,b が反例となります。

(2) (a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2ab+2bc+2ca より,a^2+b^2+c^2有理数であることを示せばよいです。有理数であることをab,bc,ca だけで示すことを考えます。ややテクニカルかもしれませんが,

\displaystyle a^2+b^2+c^2=\frac{ab\!\cdot\!ac}{bc}+\frac{ab\!\cdot\!bc}{ac}+\frac{ac\!\cdot\!bc}{ab}

という恒等式が成り立ち,仮定より右辺はすべて有理数の四則演算ですので,a^2+b^2+c^2有理数です。よって,
(a+b+c)^2有理数であることが示されました。

(3) (2)で示したことを使うことが出来ます。(a+b+c)^2有理数であることを用いると,

\displaystyle a+b+c=\frac{(a+b+c)^3}{(a+b+c)^2}

という恒等式より,a+b+c有理数であることがわかります。さらに,

\displaystyle a=\frac{a(a+b+c)}{a+b+c}=\frac{1}{a+b+c}\left( a^2+ab+ac \right)=\frac{1}{a+b+c}\left( \frac{ab\!\cdot\!ac}{bc}+ab+ac \right)

と変形することができ,右辺は全て有理数の四則演算ですので,a有理数であることが結論付けられます。

同様に,

\displaystyle b=\frac{b(a+b+c)}{a+b+c}=\frac{1}{a+b+c}\left( ab+b^2+bc \right)=\frac{1}{a+b+c}\left( ab+\frac{ab\!\cdot\!bc}{ac}+bc \right)

\displaystyle c=\frac{c(a+b+c)}{a+b+c}=\frac{1}{a+b+c}\left( ac+bc+c^2 \right)=\frac{1}{a+b+c}\left( ab+bc+\frac{ac\!\cdot\!bc}{ab}\right)

より,b,c有理数であることが言えました。

こういう問題を秒で解く人に,私はなりたい。