領域の通過領域~GeoGebraを込めて~
よく大学受験では「直線の通過領域」ということで,ファクシミリの原理なんてお名前で呼ばれるものがあるけど,以下の問題は,いわゆる「領域の通過領域」を求める問題です。まずは問題を見てみよう。
座標平面において,を中心とする半径の円があり,その内部に
点 を取る。 上の 点 ,が を満たしながら動くとき,以下の問に答えなさい。
(1) とおくとき, の値をを用いて表しなさい。
(2) 線分 の中点をとする。線分 の中点 は,,の位置によらず を中心とするある定円上にあることを示し,その円の半径をを用いて表しなさい。
(3) (2)の円の内部の領域(境界は除く)を とし, 上に定点 をとる。 が線分 上(両端は除く)を動くとき, が通過する範囲の面積を求めなさい。
[平成29年度河合塾東工大直前トライアル 大問1(出題の意図を変えない範囲で改めています。)]
記号がいっぱいあって大変に見えます。確か大学受験の2週間前にこの問題に遭遇して*1,(3)の解き方が分からなくて,んで初めて予備校講師先生*2の解説を聞いて,ともかくいろいろ印象に残っている問題です。
僕の偏見だけど,これが解ければ「通過領域」の問題は強い人という認識で良いと思います。
さ,というわけで今回も解答(例)を書いていきましょう。なんとなく今回は丁寧語で書きたい気分ですので,ですます調で頑張っていきます。
(1) ベクトルと があったら,やはり内積は0であることを用いるのが最も自然な流れと思います。今回の問題ならば,
です。
, ですので,
つまり,
(2) 円の中心と,円周上の 点を問題文が教えてくれています。そのため,かなり自然な思考回路で,
が一定であることを示せばよいことに気が付きます。
というわけで,まずは を求めましょう。
です。絶対値そのものよりも,乗を考えるべきですので,
よって, は一定値*3ですから, は を中心とする半径 上にあることが示されました。
(3) 内の点は,(2)より次の条件を満たします。(これは必要十分です。)
少し状況を把握してみましょう*4。
以下で動かせるものは,点Pとaの値です。aの値が変化することで,卵みたいな領域が浮かび上がってきます。
これを満たす点の集合を考えたいのですが,これはファクシミリの原理でもやりましたたように,これを満たす が, で存在するような点の条件を考えることで議論を進めることが出来ます。
の式を について整理しますと,
この条件を満たし,かつ を満たすような が存在する の条件を,場合分けをすることで求めていきます。
説明のため, とします。
① のときは,を満たすことが必要十分です*5。このことから,
です。
② のときは, を満たすことが必要十分となります。このことから,
です。
③ のときは, を満たすことが必要十分です。このとき,
を満たすことが必要十分ですが, のときは,左辺は必ず以上です。よって,③のときはありえません。
よって, は①と②を満たす の集合の和集合ですので,図示しますと以下のようになります。
この面積を求めることが最後の作業になります。この面積は,
ただし,この式変形の途中で, を認めて計算をしている部分があります。(半径の四分位円だから,この積分は認めました。)
…ふぅ。これでおしまい。疲れた。僕は寝る。