a^a^a^a^a^a^a^a^...を【数式で】捉える(前半戦)
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今回の記事で僕がやろうとしていることは,
が収束するような の値の範囲ってなんなんだい?
というお話です。
そもそもの読み方が分からない
多分,「a(のa(のa(のa乗)乗)乗)」と呼ぶのがふさわしいでしょう。「aのa乗のa乗のa乗」ではありません。
厳密に数式を用いて定義するならば,
数列を,
という漸化式を満たすものとして,
のことを便宜上と書いている
といった感じです。例えば ならば,明らかに ですので, となります。
また,非自明ですが のときは, が成り立ちます。
しかし, のときは, に発散します。
というわけで, と の間にあると思われる,境界を探すのが,本記事の目標となります。
まずは のときから
まず,次が成り立つことを確認していきましょう。
(証明)
数学的帰納法による。 のときは
となり, より である。
次に まで成立しているとする。
のとき,
よって補題2より だから なので の場合も成り立つ。
以上より数学的帰納法から従う。◆
のとき
唐突に という数を取ってきました。
のときに はある値に収束する ことを示します。
そのために次を確認します。
(証明)
数学的帰納法で示す。
のときは明らか。
までで が成り立つと仮定する。このとき, の対数を取ると,
これより が言えたから, のときも成立する。◆
今示したことから,
となっていますので,数列 は上に有界な単調増加数列です。よって収束します。
∴ は, においては存在する。
ちなみに, の近似値は1.414, の近似値は1.444ですので, のときは収束することが分かります。
のとき
のときは上界を持たない, つまり, は収束しない ことを示します。
つぎの式を目標に,頑張ります。
(証明)
を2以上の整数とする。また,関数 について平均値定理を適用する。つまり, は区間 で微分可能な連続関数だから,ある定数 が存在して,
このとき, を用いて両辺に をかけると次の不等式が導かれる。
この不等式の左辺については,
となるので,不等式は次のように書き換えられる。
下線を引いた部分は であり,これは十分大きい に対して1より大きい数である*2。したがって,
が成り立つ。◆
これは がある値に収束しないことを言っています*3。特に正の無限大に発散します。
∴ は, においては存在しない。
すこし疲れたのでここで前半とします。
次回は, での についてみていきます。後半のほうが長いです。そして, のどこかに さらなる境界 があります。そのお話はまた元気な時に...