通過領域とGeoGebra
今日は直線の通過領域の問題です。GeoGebraを駆使します。
平面における つの放物線 を考える。
(1) と が異なる 点で交わり,その 交点の 座標の差が となるように実数 が動くとき, の頂点 の軌跡を図示せよ。
(2) 実数 が (1) の条件を満たしながら動くとき, と の 交点を結ぶ直線が通過する範囲を求め,図示せよ。
(18 東北大)
まずは(1)です。
と が異なる 点で交わっているので,その交点の 座標を としますと,以下のようになります。このとき, です。
また, は方程式
の2つの実数解です。この式を整理して,
念のため,これが異なる2つの実数解をもつための の条件を求めましょう。判別式を として,
また,解と係数の関係より,次が成り立ちます。
この式と という式を合体させるためには,次の恒等式を使うのが便利でしょう。
これらに代入しますと,
となります。また,①で求めた範囲は, を満たすすべての実数 で満たしていることも断っておきましょう。こういう些細なことが減点されないためには必要ですね。
図示もGeoGebraにやってもらいましょう。
さて(2)です。またまたGeoGebraを引っ張ってきましょう。
今度の問題で何を聞かれているかというと,要するに「直線が動いた時の,ピンクの領域を正しくとらえて,手書きで教えてください」と聞かれているようなものです。問題の意味こそ簡単ですね。
しかし,考え方に不慣れな人にとっては難しいと思います。青チャートではコンパス4つついているぐらいの問題です。GeoGebraで一通り遊び終えたら,数式の世界に戻っていきましょう。
まずは図における「ピンクの直線」の方程式を求めないとお話になりません。言い換えると,「(1)で考えた2つの交点を通る直線の方程式」です。
つまり,2点 を通る直線の方程式は,
きれいすぎて思わず問題解くのを忘れて手が止まってしまいますね。やはり原点を頂点とする二次関数は綺麗な事実がいっぱいあります。
解と係数の関係の結果を代入しておきましょう。
ここで,ようやく(1)で求めた を代入するときです。代入して整理しますと,
となるはずです。大分きれいになりましたね。さて,この式をどう料理するかが鍵となります。
こんなポイントでも挙げておきましょう。
グラフの通過領域は,解の存在範囲でなんとかする
ここから解の存在範囲の問題に変わります。思考の流れは次の通りです。
点 は,ある実数 を用いて, と表される
⇔ある実数 が存在して,点 は と表される
⇔を満たすような実数 が存在するときの の条件を求める
ざっとこんな感じです。注意すべきは, を変数と見て, は定数とみなして考えることです。
この問題ならば, についての方程式と見て, の判別式の値が以上になることが必要十分です。
よって,
となり,図示すべき領域は以下となります。(境界線上は含みます。)